クリニックの採用担当の方とお話をしていると、なんとなくは、近隣の医院の給与形態、福利厚生、採用方法を知っておられるように感じます。しかし、それだけでは足りないと思うのが、正直なところです。もっともっと、隣の医院との差を調べて、知っておいてほしいものです。
少子高齢化が進み、働き手世代の割合が減るにつれ、どこのクリニックも人手不足が深刻化し、医院運営を圧迫するようになっています。つまり今の時代は、患者さんを集める営業努力よりも、職員を集める採用努力が必要なのです。言いかえれば、職員さえ集めれば、おのずと地域一番のクリニックになっていきます。
欲しい職員はどこにいるのか
その肝心の職員(看護師、歯科衛生士など)は、どこにいるのでしょうか? 貴院に通える範囲に住んでいて、必要な資格を持っていて、長く勤め続けてくれそうな人は…。
その人は、意外と近くにいます。はっきりいうと、隣のクリニックで働いています(笑)。ではなぜ、貴院ではなく、隣の医院のほうがいいのか。その答えを探って、対処していくことこそが、重要な根本改善策になるのです。
待遇面はそんなに変わらない
医院での雇用の特色として、他の医院と待遇面では大差がないということがあります。理由は簡単、何のサービスを提供していくらの報酬になるのか、国が決めているからです。売上がだいたい決まってくるので、ある程度、人件費に分配できる額も似たり寄ったりになると想像がつきます。
そうなると、隣の医院とどこで差をつけるのか。採用方法に、どんな特長や秘密があるのか。調べて、努力するしか道はありません。
例えば、自動車販売業を営むA店とB店があるとします。扱っている商品(車)は同じでも、いつもA店のほうが多く販売しているとしたら、なぜなのか気になりませんか? それと同じことです。
簡単にわかることではないかもしれませんが、その理由がわかりさえすれば、貴院の採用活動がぐっと楽になることは間違いなさそうです。
自分の医院の魅力を再確認して発信すべし
同じ商品を扱っていても、先ほどのA店とB店では、差が出ている。これには、必ず理由があるはずです。
クリニック内をもう一度よく見てください。貴院で長く働いてくれているスタッフさんがいませんか? その人は、貴院で働く魅力やメリットを感じているから、働き続けてくれているのです。ぜひその人に、なぜこのクリニックを選んでくれたのか、なぜ辞めずに働き続けてくれているのか、聞いてみてください。そうして貴院の魅力を再確認したら、そのことを広告などに載せてどんどんPRしてください!
ブランディングについて考える
ブランディングという言葉はよく聞きますが実際にはどういうことを指すのでしょうか?名刺・パンフレット・Webサイト・診察券のデザインが統一していることでしょうか?
ブランド戦略とは
企業の「経営理念(ミッション・ビジョン)」、「経営戦略」「マーケティング戦略」、「コミュニケーション戦略」の各層が重なっており、これら企業の諸活動を統合したものが「ブランド戦略」であると示されています。
ブランドは企業にとって資産となるため、ブランド戦略は「資産を生み出していくための戦略」。すなわち、企業の経営そのものなのです。(一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会より)
1.競合商品・サービスとの差別化
ブランドへの投資により、固有の連想と意味を付与することで、他者製品と差別化を図ることができます。
差別化に成功すれば、満足した顧客は再購買が容易になり、企業は参入障壁を築くことができます。
2.付加価値の向上と価格決定権
差別化に成功すれば、利益獲得に有効な価格設定を行うことができます。
3.法的保護を受けられる
知的財産権をはじめとして、登録商標、特許権、意匠権、著作権などで製品・サービスを法的に守ることができます。
4.自社内の意思統一と社員モチベーションの向上
強く、好ましい、ユニークなブランドの確立は、消費者・顧客だけでなく、自社内にもポジティブな反応を引き起こします。
自社ブランドが実現しようとする価値と、社員との一体感が高まります。
5.ビジネスパートナーの協力
消費者・顧客のブランド・イメージがポジティブであれば、そのブランドは、ビジネスパートナーからも好ましい反応を受けることができます。
6.採用活動の効率化
ブランドが確立することにより、ブランドの価値観に共感し、企業が求める人材が集まりやすくなります。
是非、ブランドの構築に注力し、より良い医院経営をしていきたいものです。