私は以前人材採用の支援サービスの仕事をしておりましたが、その際、応募希望者を医院見学にお連れした際に、「これは決まるな」と感じることもあれば、「これは厳しいな」と感じることもありました。この差は何かというと、見学を受ける側(クリニック側)の対応の上手い下手です。
医院見学で損をしているクリニックの、多いこと多いこと。見学まで来てくれたということは、採用までいく見込みが高い人です。見込みが高い人を、どれだけ確実に獲得していくかは、とてつもなく重要なことです。これで、採用効率は大きく変わります。
医院見学の際の失敗例4つ
見学を受けるのが下手なクリニックが、よく犯している失敗例を四つご紹介します。
見学の話が通っていない
そんなクリニックがあるの?と思われる人もいるかもしれませんが、これが結構多くて、感覚的に3割から4割ほどのクリニックで話が通っていない印象です。
よくあるのが、応募希望者の方と院長の間で医院見学の話となり、当日は院長が案内するという流れとなった。しかし、応募希望者が、実際に訪問すると院長が不在だったというパターンや、受付スタッフに話が通っておらず患者さんと間違えていた、などなど。
応募希望者が見学に来院したときは、「◯◯さんですね。本日はようこそおいでくださいました。医院見学ということで院長から承っておりますので少々お待ちください。」
というような対応を受付スタッフが行うことができれば、応募希望者も安心して見学に臨めると思います。
見学者に食いつきすぎる
まずは、見学と面接のニュアンスの違いを、よく理解しないといけません。応募希望者の意識は、見学と面接では全然違います。見学は、文字通りに「見て何かを学びとる」場であり、クリニックの雰囲気を確かめたいという気持ちでいます。面接の場合は、応募の意思があり、応募希望者とクリニックとのマッチングの場(お見合いのような場)となります。
この差を理解していないクリニック担当者は、1割から2割ほどいます。応募希望者は、見学時点では、応募しようかどうしようか迷っている状態なので、食いつきすぎてグイグイ行くと引いてしまいます。洋服を手に取った瞬間に猛烈にすすめてくる、洋服店の店員さんみたいなものですね。
逆に、応募希望者に全く食いつかないというのも、よくありません。そんな担当者も、実際に1割から2割ほど存在します。せっかく見学に来てくれたのに、「どうぞ勝手に見てってね」というスタイルでの対応。これは、全く流行っていない洋服店のスタイルです。
ということで、適切な熱量で対応することが、見学時にはとても大切です! さじ加減が難しいかもしれませんが、「自分が応募希望者の立場だったどう感じるか」を考えた対応を、心がけましょう。
クリニックの特長をうまく伝えられない
第一章でもお話したように、医院の特長を伝えられるかどうかは、非常に大切なことです。つまりプレゼン能力が問われるわけですが、これは誰が対応するのかで大きく差が出ます。最も熟知しているであろう院長であれば、自院の考えや取り組みをちゃんと伝えられる場合が多いですが、院長以外が見学の対応をする場合は、プレゼンの台本作りと練習が必要です!
プレゼンの内容が良くないなと感じる担当者は、残念ながら全体の8割ほどもいらっしゃいます。一般の企業と違って営業トークが得意ではないという不利な面はあると思いますが、初めから上手くできる人はほぼいないので、やはりそれを前提とした練習、また仕組みの構築が必要です。
質問に対し、融通がきかない返答をする
見学が終盤にさしかかり、少しでも応募希望者がクリニックに興味を持つと、さまざまな質問が出るものです。質問が出るということは、チャンスなんです!
これに気づいてほしいのです。そして、チャンスを生かすも殺すも自分たち次第です。
いろいろな質問を想定し、できる限りその回答を事前に準備してください。でも、もし想定外の質問がきた場合はどうするか。たいていは「上長に確認して改めて回答」ということになり、それでかまいませんが、これが数日後の回答になったりすると、その間に他院で採用が決まってしまったなんてことも多々あります。保留するなら、回答はスピーディーに。
また、決まり文句一辺倒の返答や、融通が利かない返答をしていると、素晴らしい応募希望者をとり逃してしまうこともあります。
見学はチャンス!採用までの導線設計をしよう
四つの失敗例をご紹介しましたが、この失敗を防ぐにはやはり、代表者が見学の対応をすることが一番かと思います。それが難しい場合は、見学の際のマニュアルを作成し、代表者が見学対応者にしっかりと指導することです。間違っても、その日に出勤している適当な人に見学対応をまかせないでください。
「見学=チャンス」という意識を持ち、採用までの導線設計をしっかりと行いましょう!